【インタビュー】第1回県民インタビュー・同人作家:空国慄さん(後編)

インタビュー
【インタビュー】第1回県民インタビュー・同人作家:空国慄さん(前編)
今回インタビューさせていただいたのは、鹿児島で同人作家として活動をされている空国慄さん(むなくに りつ)(@munakuni)です。 空国さんは2020年に五周年を迎える文芸サークル「釘と屏風」(@kugi_byoubu)という団体で小説を執筆されています。普段は近未来小説やいわゆる、ライト文芸と呼ばれる作品を書いている空国さんですが今回は、趣味や最近の出来事、鹿児島についてどのように考えているのかを聞いてみました。

同人作家空国慄さんのインタビューの後編となっています。今回は趣味や空国さんの個性が前編より多く語られています。お楽しみください。

鹿児島の町おこしについて

ちゃんびい(以下、B)観光の誘致とかインバウンド事業って、行政の人たちが外部と連携してやってると思うんですね。若い子たちがやってる、クラブハウスを借りたり古い民家をどうこうしたりというのは、その人たちのパーソナルな部分を出してSNSで自分のPRを目的にやっているような気がして。それはそれで問題だと思うんですね。

空国(以下、空)自分が思うに若い人たちは鹿児島の限界を見限っているなと思うところがあると思うんですね。鹿児島をストレートに打ち出しても仕方がないと見限っている。もう一方で、今の時代の流れとしてtiktokだとかyoutubeのように人物にフォーカスをあてて楽しむようなコンテンツが増えている。大きなコミュニティよりも人物を追ってザッピングして楽しんでいる、そういう流れがある。

だから、鹿児島にもアイコンとしての人物が現れればいいという意識で活動をしているんじゃないかなと。今の時代性が内面化されて、鹿児島でも同じような状況が作られているんじゃないかなと。

広告塔になる人物がいなければ、広告も打てないですし。若い子たちが我を出すのは別にいんじゃないかなと。偉人の肖像画を使って売り出すよりはいいと思いますね、自分は。案外悪くないんじゃないかなと思っています。

B ぼくたちの方向性としては、自分たちを極端に打ち出すのは控えて、書き手を出すには出すんですけど、小出しにしていこうかなと考えていて。ただ、今話をお伺いする上でその辺は上手くやっていかなければいけないと思いましたね。

鹿児島ではなく都市部で暮らしていたら

――話は変わりますけど、自分が鹿児島ではなく例えば東京に住んでいたら今と同じ暮らしをしていると思いますか。余談ですが、空国さんの小説は都市での物語を描いた作品が多いように感じます。

空 交通のインフラが整っていて小説の舞台として使いやすいということもあって都市を舞台にすることが多いです。まぁ、交通が整っているところには行きたいと思っていますね。都市で暮らしていたら……少なくとも今よりは外出が増えるのかなと思いますね。その反面、今このご時世となると、人口密集度というのが怖くもあります。難しいですね。

――その点は難しいところですよね。でも、外出は増えるということですね。

空 休みの日にどこかに遊びに行こう、と考えた時に都市部の方が選択肢は増えますよね。

あと、これ鹿児島の特徴だと思うんですけど、整骨院と美容室がすごく増えてるんですよね。あそこのお店が潰れたら整骨院になっているなぁ、というのが多くて。同じような機能の施設ばかりが増えていて。町が死んでいるなぁ、って感じるんですよね。とにかく、選択肢が少ないと思いますね、鹿児島は。

B  同じテナントでも、カフェなのかバーなのか美容院なのかで、土地の印象が全く違いますからね。ちなみに、整骨院とか美容院が増えている理由って何だと思いますか。

空 おそらくですけど、整骨院に関しては高齢化、鹿児島の年齢層があがっているからなんですかね。美容室に関しては専門学校が多いから、とかでしょうか。

B 西郷さんとか方言を観光で使いまわしてるじゃないという話があったじゃないですか。鹿児島は「PRが下手」ってよく言われるじゃないですか。でもそれって、「SNSを上手くつかう」「広告をどう打つか」とか「誰誰とコネを作る」って言う技術的な問題ではなくて、それ以前の考え方の問題じゃないのかなとさっきの話を聞いて思いました。発想の部分で難しいんじゃないかなと思うんですよ。

で、それってさっきの話にも繋がると思っていて。自分の推測ですけど、将来の選択肢が少ないんじゃないかなと。進学先が限定されているから、職業的な目標も少なくなっている。(美容師や柔道整復師さんは)ある程度キャリア積んだ次のステップとしてお店を出す、というのがあるので。土地の使い方もそこに集約されるんじゃないかなと。新規オープンって、大体居酒屋とか、資格系じゃないですか。新しい事業を起こそうと思うと、どうしても店系になるんじゃないかなって。その点が、情報の伝え方とかPRの仕方とも似ているんじゃないかなと。そこって別にオフィスにしてもいいじゃないですか。

空 そういう行き詰まり感はすごくあるんですよね。みんな、進学先はそれしかないのかなって。ただまぁ、少子高齢化とは言いましたけど、保育園が増えている印象も少しあるんですね。待機児童の問題であったりとか、保育園に入れない子たちっていうのは依然としているんだなと思っていて。なんかバランスが不均衡だなとは思っていて。子供たちがどういうキャリアに行くのだとか。子供たちをちゃんと育てる為の街単位での取り組みが出来ているのかというか。その辺のバランスが悪いんじゃないかなって。

高校の頃の友人もほとんど東京に行っちゃっていて。鹿児島にいるとどうしてもどん詰まりなんだというか。道がないから都市に行くという選択をしているのかなって。

あと、これは高齢化とも関する問題なんですけど、鹿児島って若者向けの文化って少ないですよね。最近はサツマニアンフェスとかもやるようになっていますけど、もっとポップな文化、鹿児島から発信したり盛り上げたりって取り組みを増やすことで鹿児島が変わってくる部分もあるんですよね。外から異物を取り込む勇気がないというか。それで、内側で結局固まって、自分の家族や祖父母の世代の人たちに奉仕する為の人生で終わっちゃうような気がしますよね。

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2020(ザ・グレート・サツマニアン・ヘスティバル)[鹿児島で開催されるヘス(フェス)]
[鹿児島で開催されるヘス(フェス)]THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2020(ザ・グレート・サツマニアン・ヘスティバル ニセンニジュウ)公式サイト。 九州本土最南端ヘスティバルいよいよ開催!

――若者にとって少ない状況が続ている状況、この状況を変えていく上で、私たちの世代はどういった取り組みをする必要があると思いますか。

空 無責任にどう言ったりというのも、コロナ禍の中で難しいんですけど、鹿児島の土着性にとらわれないポップカルチャーの発信というのに取り組んでもいいんじゃないかなと。例えば、マスコットキャラクターとか全部桜島に関連したものだったりとかするじゃないですか、ああいうのを一切なくしたらいいんじゃないかなって。土着性にとらわれているから、外から見ても閉ざされているような印象を受ける。抜け出している人がいるけれど、新しく入っていく人はいないから。中で悪い循環が続いているというか。流れが変わらないのかなって。土着性にとらわれ過ぎると、鹿児島って悪いところが出てくるなっていう。

――既にあるものを焼きまわして使うことをやめよう、と言うことですね。

空 自分が思いついていたら、世の中簡単に回ると思うのでそう簡単にはいかないんだろうと思うんですけどね。

――余談ですけど、さうれぽのタイトル候補に「火山ちゃん」というのがあって。まさにあるものを焼きまわしている(笑)

B あとGOWAS(ごわす)とか。

空 それだったらインタビュー断っていたかもしれないですね(笑)

鹿児島と映画館

――質問に帰りますけど、やっぱり都市部にいたから自分の生活どうなっているかということを考えるのは難しいですかね。

まぁ、外出は増えると思いますけどね。選択肢が増える分。あと、映画! 映画の問題は根深いですね。最近は良くなっているんですけど、例えば姶良のイオンでは観れるけど、中央駅では観れないとか。そういうのが多いですね。そう考えると、一番生活が変わるのは映画かもしれないですね。映画館の選択肢が増えるのはとても嬉しいですね。

――ちなみに、空国さんは鹿児島で好きな映画館はどちらになるんですか。

空 イオンや与次郎の映画館はメジャーなところは割と拾ってくれているんですね。小さい規模でしか配給されていない映画っていうのは、天文館シネマパラダイス(以下、天パラ)とかガーデンズシネマが拾ってくれたりしていて。自分はそういう小さい映画館を応援したいですね。今年も『イップ・マン』って映画がようやく公開されて。天パラだけでしたね、拾ってくれたのは。やっぱり、中規模小規模の劇場は自分たちのフィールドで勝負しているような印象を受けますね。

「天文館シネマパラダイス」オフィシャルサイト
鹿児島、天文館にある7スクリーンの映画館&#12290...
ガーデンズシネマ 公式サイト|39席の小さな映画館 マルヤガーデンズ7F
鹿児島のマルヤガーデンズ7Fにある39席の小さな映画館『ガーデンズシネマ』の公式サイトです。当館のコンセプト、上映スケジュール、料金と前売券、交通アクセス等をご案内いたします。映画をもっと楽しめるコラムも絶賛連載中!

――なるほど。映画館ごとに色が違うんですね。ちなみに、最近おすすめの映画とかあったりしますか?

空 最近はコロナ禍のこともあって、映画館には行けてないですよね。だから、あんまり本数は見れていないです。去年の半分以下。でもまぁ、おすすめって言ったら、やっぱり『イップ・マン 完結編』ですね。あと、最近音楽を整理していたんですけど、『リズと青い鳥』のサウンドトラックが見つかって。やっぱりこれは良いですよね。映画館でも2、3回は見たんですけど、年に1度はみたいですね。あと、『桐島、部活やめるってよ』も年に1回は観たい。

これからの話

――質問としては最後になるんですけど、空国さんの今後のヴィジョンについてお聞かせいただけたらと思います。

空 5年後の将来は正直みえない。来年、世の中がどうなっているのかも分からないし、そもそも30歳まで自分が生きているという確証も得られない。このまま35歳まで生きていたら絶望して死んじゃうんじゃないかなって感じですね。計画性はあまりないので、将来のことは分からないです。

――そうですか、ありがとうございます。あと、これは質問ではなくて、コーナーとして「さうれぽの悩みを相談してもらう」というのがありまして、私からちょっと人生相談を(笑)(以下、エヌ) 

エヌ 最近残業が多くて、遅い時は22時まで残業していて。土日は休みなので、その時間を使ってさうれぽの活動や他の趣味的なことをしているんですね、30歳までには仕事を辞めて自分が今取り組んでいる活動でご飯が食べられるようになりたいと思っているんですけど……このままでいいですかね?(笑)

空 それは自分も悩んでいるので、誰かに相談したいですね(笑) 作家としてデビューもしたいですけど……まずは本腰を入れて努力をするところからですね、自分は。1月に26歳になるんですけど、20代も折り返しなので、デビューと言う目標を持ってそこに向かって本気で努力を始めなきゃなと思っていますね。……とりあえず、エヌは労基に駆け込んだらどう(笑)

エヌ 生活も趣味も充実させたい、欲望が強い(笑) 何にでも手を出して中途半端に終わってしまう可能性が十分にありますね。

空 日本もしっかりと定時に上がれたらいいんですけどね。日本人のよくないところであるとは常々思っているから。雇用側だけがやっぱりルーズなんですよね。

――ありがとうございます(笑) では、司会に戻ります。今のところ、最終的な目的地は持ってはいないんですね。

空 そうですね、幻想を作っていきたいというか、小説家でなくてもストーリーテラーとしてやっていきたいですね。例えば漫画原作であったり脚本家であったりとか。物語る仕事をして飯が食べられたらいいなと。現実って苦しいじゃないですか、まずいというか、美味しくない。自分はずっと虚構の中で生きていきたいです。あ、でも死ぬ瞬間だけは明確に思い描いていますね(笑)

――それはここに書いても問題ないんですか。

空 別にいいですよ(笑) 何パターンかあって一世一代の大犯罪をして逃走中に、めちゃくちゃな速さで走って、仲間と一緒に事故で死ぬとか、理想の恋人をみつけたらその人と一緒に心中するとか。アメリカンニューシネマみたいに死にたい。ゴールテープだけは明確にあるんです。

――まさに虚構を生きている訳ですね(笑) けれど現状では、小説家―ストーリーテラーとも仰っていましたが―になりたいって目標があるわけですね。

空 そうですね、ただ小説を書くのって体力を使うんですね(笑)小説家で続けていくだけのガッツが自分にあるのかは分からないけど、現状自分のやりたいことと一番合致しているのは小説家かなと。

――ありがとうございます。では、最後に告知などがあればお願いします。

空 『リズと青い鳥』のことをあまり話せていなかったのでここで(笑)

『リズと青い鳥』は説明セリフに頼らない、大事な時にこそ、芝居や表情の作り1つで感情を雄弁に語るんですね。正直言って、日本の大作と呼ばれる映画の俳優陣と比べてもその点は本当に繊細に描かれているんです。こういうのが映画芸術だよ! っていう。アニメーションも遂にここまで来たか、という感じですね。その辺見て欲しいです。

告知とかは、僕は『リズと青い鳥』の魅力を伝えられたらそれでいいです(笑)

B いいオチがつきました。

空 そうですね。

――それでは、空国さん長時間にわたってありがとうございました!

(取材・さうれぽ/聞き手・エヌ)

コメント

タイトルとURLをコピーしました