鹿児島の男性保育士26歳が、不動産の営業に転職するまで〜②転職エージェントに登録しても何がなんだかわからない

転職
何か新しい事を始めたいんです、興味はありますが、経験はないから
未経験OKという言葉にひかれて、ただ募集要項には27歳以下と書いてありました
それでも応募してくる度胸というかやる気というか 見えない何かを買ってください

狐火「27歳のリアル」

転職にまつわるあれこれを書いていくシリーズの第2回である。

初回は、保育士をやっていた私が、「転職しよう」と決意するまでを書いた。

転職エントリ、と銘打ってはいるが、業界の動向とか、キャリアアップとかスキルアップについての有益な情報が得られる内容ではなく、ただ地方の悶々とした青年の転機を淡々と書いていく投稿になっていたし、これからも引き続き、なっていくと思われる。

金の問題をどう解決するか?

少し話がそれるが、私は営業で車を運転する際、時間が合えば「テレフォン人生相談」を聴いている。

テレフォン人生相談 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93
人生には様々な喜びがあり、同時に苦しみや悩みもあります。人に言えない、誰にも相談できない、悩みや苦しみ。そんな時いくらかお役に立てれば…というのが、この番組です。各界の専門家があなたのご相談に応じます。...

「妻が不倫している」「夫と仲が悪い」「息子が言うことを聞かない」「貸した金が返ってこない」「男女関係に困っている」「ハラスメントの被害を受けている」などといった、毎回視聴者が寄せるお悩みに対し、弁護士や医者、作家などの専門家が答える帯番組である。ときどき辛辣な回答もあったりするが、基本的に「解決」へみちびくための的確なアドバイスが与えられている。

私は眠れない夜にこれを聴くことがある。私なんかよりダメな人間ってたくさんいるんだな、大変な思いをしている人がいるんだな、と、安っぽい涙を目に浮かべていると不思議と落ち着いて眠りにつくことができる。われながらすごく失礼かつ低俗なストレス解消法だと思う。

「テレフォン人生相談」を聴いていると、人間の悩みはだいたい「金」か「恋愛」なのだと思う。以前読んだ「グッドジョブ」という漫画でも、「人間、死ぬまで興味があるのは金かセックスよ」というようなセリフがあった。

恋愛の悩みはおいておくとして、普通の人間が「金」の問題を解決しようと思ったら、働くか、誰かに借りるかしかない。まともな人間はあまりお金を借りたくないから、働く、つまり仕事をどうするか、という考えを中心に解決へ向けて動くこととなる。

そういった金=仕事の悩みに対するひとつのレスポンスとして、「ひとつの会社で働き続ける時代ではない」「終身雇用制度は崩壊しかけている」といったイデオロギーが基盤となった、あまたの転職エントリが書かれている。また、最近は「資産運用で食っていく」とか「フリーランスで好きなことをして稼ぐ」といった、「金」の問題に対して、「会社をどうするか」「誰かに借りる」以外の新しい軸の提案もなされている。その中には参考になる記事もあるだろう。

とはいえ、どれも、「金」の問題をどう解決するか、という考えのもとに成り立っており、金に困っている限り、私たちはその解決の方向性をあっちへ向けたり、こっちへ向けたりしてみるほかなく、さらには自分がいま仕事に対して抱えている「将来性がない」「やりがいがない」「低賃金」「忙しすぎる」といったさまざまな不満を理由に目先の方向性を変えるなどして、もがき続けることとなる。

実際に行動を起こして失敗するのは誰しも避けたいから、すでに実行してうまくいった人間、うまくいかなかった人間の経験を書籍や転職エントリ、誰かの話から取り入れて自分も実行する、または、現状そんなに悪くないかもしれないと思いなおして3ヶ月くらいは頑張ったあと、やっぱり方向転換してみようかなと思う、その繰り返しだ。「テレフォン人生相談」で見知らぬ他人のあたふたするさまを聴いて安心するのとどこか似ている。

私の場合、「もう絶対に転職する」と決めてしまったので、安い給料でも節約して資産形成とか、副業で稼ぐとか、そういう器用な方法を真剣に考える余裕がなかった。とはいえ、何にしても考えすぎてしまう性格なので、思い切ってスタートさせてしまって良かったと思っている。

ただ、情報はきっちり仕入れておくべきだった。というのも、私は保育士しかやったことがないので、いわゆる転職エントリで書かれるような「会社」「ビジネス」というものを何も知らなかったのである。

私は役に立てる人間なのか?

転職活動を始めるにあたって、私はまず本屋さんへおもむいた。本気で何かを知りたいと思ったら、まず本屋さんへ行くようにしている。流行っている新しい情報も、昔からある正確な情報も、ざっと眺めて判断できるからだ。

仕事帰り、リュックを背負ってジュンク堂書店の「転職」の棚の前に立ち、まずこちらの一冊を手に取った。

「マイナビ転職」には、転職活動の基本的な流れがていねいに書いてあった。なぜ転職したいのか、いつまでにしたいのか。どのような流れを踏めばよいか。書類の作成、面接。次の職場が決まってから、どのように退職するか。そして、転職してから、どのように頑張ればよいか。

先述したように、極端に言えばビジネスマナーなんかも身についていない無知な私にとって、おおまかな流れを頭に入れておくことで、取りかかりやすくなったと思う。いま、属している職場から、別の職場に属するまでの動き、それがつまり転職活動なのだが、なにぶん初めての経験なので、本当に基本的なことから知って意識的になることで、そのあとの考えの基礎ができた。

この本の「転職してから」というページに書いてあった「何事も粘り強く、最初は焦らず」という内容は、今でも強く印象に残っている。最初から調子に乗らず、様子を見ながら取り組んでいこう、と自分に言い聞かせることで、今月退職代行でまたひとり辞めたえげつない離職率の職場でもなんとかやれている。

続いて購入し、風呂で読んでいったのが、この一冊である。

このまま今の職場にいていいのか? と考えた青年が、コンサルタントの力を借り、会社の状況や同僚の悩み・企みに抗い、寄り添いつつも転職活動に取り組む様子をストーリー仕立てで描きながら、読者にも「転職」についての「思考法」を伝えていく内容となっている。

文章が読みやすく、ストーリーも山あり谷ありで展開していくので読み物として面白い。

この本は大きく4つに章立てされている。「1・仕事の寿命が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ」「2・「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない」「3・あなたがいなくなっても、確実に会社は回る」「4・仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?」である。

このうち2〜4は、転職を踏みとどまっていたり、思い切りがつかなかったりする人たちへの思考の手がかりを与える内容となっている。私は転職を決めていたので、自分の考えをさまざまな角度から見直すいい材料となった。

1で与えられるヒントはいくぶん実践的で、「自分のマーケットバリューを測る」「今の仕事の寿命を知る」「強みが死ぬ前に、伸びる市場にピポットする」「伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める」といったふうに、自分の現状をいかにして把握し、将来的に間違える可能性の低い環境をいかにして選ぶか、といった内容が書かれている。

この章を読んで感じつつあったのは、新しい環境で生かせるような強みや、市場を見極める知識・情報・センスといったものが、私には欠けているということだった。

23歳から26歳の3年間、保育士として働いた結果、保育のスキルは多少身についたものの、マーケットバリューと言えるような仕事の実績は持ちようもなかったし、これが強みだ、と思えるうえに他の仕事でも生かせるようなスキルはない。市場、というものを肌で感じ、ビジネス感覚を養えるような業務ではなかったので、他の会社や業界がどのように絡み合って利益を生み出しているか考える意識も方法もなかった。

そしてそれを仕事のせいにしてしまえば簡単だった。新聞やニュースで情報を仕入れるなどといった、転職も視野に入れた努力というものをしてこなかったのである。

薄々感じつつあった、「自分は何もわかっていないのではないか」といった不安は、転職エージェントに登録することで、いよいよかたちを持ち始めることとなる。

なにも知らないのだろうか?

私は転職エージェントに登録した。

「doda」「リクルートエージェント」「マイナビ転職」の3つである。

なぜこの3つにしたかというと、単純に、よく知られているエージェントだったからである。そもそも「転職エージェント」が何をするところなのかもわかっていなかった。求人が見られるのだろう、くらいにしか思っていなかった。

登録に際し、いくつか情報を入力していくこととなる。

氏名、生年月日といった情報に加え、今の業務内容や、「いつ転職したいのか?」といった希望。私はいつ、転職したいのだろうか。転職するのにどれくらいかかるのか。というか、本当に転職できるのか? すぐにでもしたいけれども、すぐにしていいのだろうか。

そして、希望する業種、職種について。

業種? 職種? それってなに? どうちがうの? 総合商社、金融、不動産。何するの? 情報技術、介護・福祉、サービス。どれがどんな仕事なのか? どんな会社なのか? 営業って職種は、売る仕事ってことだよね。何するの? 商談とか? 保育士の私にできることがあるのか? 

希望する給与について。

どれくらいが普通なの? どれくらいもらえるものなの? 私がどれくらいもらっていいの? 希望していいの? 今の給料、どれくらい低いの? それがどれくらい変わるの?

何もかもわからなかった。これが、就職活動をせずに大学を中退し、アルバイトと保育士だけしかせず、ろくにビジネスと関わることなく、しかも自己研鑽を怠けてきた人間の現実である。今のままでは自分が変えられない、だから変わりたいと思って行動を起こしたのに、その基礎基盤ができていないのである。

すべての項目をとりあえず入力すると、リクルートエージェントから電話がかかってきた。面談の日時を決めたいと言う。言われるがまま、空いている日付を指定する。

「では、それまでに履歴書と職務経歴書を作成しておいてくださいね!」

わけもわからないまま、私は作業に取りかかることとなった。次回以降、その様子を書いていこうと思う。

約28年も生きて今さら0になることが怖くて仕方ない
新しい職探しも面接官にどんな風に見られるかをまず心配

狐火「27歳のリアル」

ちゃんびい

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