【インタビュー】NPO法人ルネスかごしま理事長ーカウンセラー たにかつさん(前編)

インタビュー

さうれぽのインタビュー企画、第4弾のお相手は、NPO法人ルネスかごしまのたにかつさんです。(本名:谷川勝彦さん)

たにかつさんは、名山町「バカンス」(名山町の小さな家。コーヒーを振る舞ってくれたりする)の共同経営者のひとりでもあります。この日のインタビューもバカンスさんで行わせていただきました。ご提供ありがとうございました。

なお、今回のインタビュアーはエヌです。前編では、ルネス鹿児島を立ち上げたきっかけやその活動についてお聞きしました。

バカンスの外観
バカンス2階のインタビュー会場

たにかつさんの過去インタビューはこちらです↓↓

①ふくしまかざりさんによるインタビュー

NPO法人ルネスかごしま 代表ロングインタビュー|谷川勝彦(たにかつ)|note
たにかつさん【プロフィール】 1977年生まれ。鹿児島県出身。東京大学 総合文化研究科・教養学部中退。前身の福祉団体を引き継ぐ形で、2017年に「NPO法人(特定非営利活動法人)ルネスかごしま」を立ち上げ、代表理事を務める。「相談者一人ひとりと一緒に考え、じりつを目指す」を活動の軸とし、不登校や引きこもりに悩む親子の...

②Re・rise様による動画インタビュー

もっと自由に自分のやりたいことが実現できる。そんな世の中をみたい/谷川勝彦さん

③たにかつさんのセルフインタビュー

セルフインタビュー「あちこち行ってますよね?」|谷川勝彦(たにかつ)|note
>たにかつさんって、よくあちこち行きますよね。 そうですね、おかげさまであちこちに行かせていただいています。 >相談とか訪問とかも県内各地多いんですか? そうですね、相談受付とか、訪問とか面談とかの場合もありますね。でも、純粋に遊びで行っていることも多いですよ。 >そうなんですね。 はい。 私がその土地を、...

たにかつさんとルネス鹿児島の活動

ルネスかごしまでは、訪問でのカウンセリング、及び講演などの活動の他、下記のような活動もされています。詳細はルネスかごしまのHPやたにかつさんのnote、twitterをご覧になられてみてください。

たにかつさん(谷川勝彦さん)

Twitter:@tanikatsu1

Facebook:Katsuhiko Tanigawa

note:谷川勝彦(たにかつ)

ルネスかごしまの活動

ひだまりカフェ

NPO法人ルネスかごしまの活動のひとつであるひだまりカフェは、毎週土・日曜の10時~13時に鹿児島市民福祉プラザにて開催されています。困りごとやお悩みの相談など、自由にお話出来るスペースをルネスかごしまの方々がご提供されています。エヌも、時折昼食を食べにお邪魔しています。「ひとりで食べるより誰かとご飯を食べたい」、そういった動機でも受け入れてくれるのがひだまりカフェです。詳細は下記のチラシをご覧ください。

伴走型支援者養成講座

NPO法人ルネスかごしまでは「搬送型支援者養成講座」を定期開催しています。講座の概要については下記の通りです。ニュアンスが使う人によって異なる言葉のようです。たにかつさんのnoteに詳しく書かれているので是非とも読まれてみてください。エヌも一度だけ参加したことがありますが、たにかつさんをファシリテーターとして自分も発信しながら、他の参加者の方と学びを深めていく、というような印象を受けました。

「伴走型支援」ってどういうものですか?|谷川勝彦(たにかつ)|note
2年ほど前から、鹿児島県内各地で「伴走型支援者養成講座」というものを行っています。「発達障がい・精神疾患・アダルトチルドレンなどの生きづらさを抱える人への支援を行う人を養成する講座」であり「傾聴・カウンセリング・ファシリテーションなどの技法を講義形式・グループワークなどを通して一緒に学ぶ」といったことを説明書きには書...

インタビュー本編

ーーそれでは、たにかつさん(本名:谷川勝彦さん)、本日はインタビューよろしくお願いします。今回、「こういうことを聞くのはやめてほしい」という質問がありますか?

たにかつさん:カウンセラーにとって、自己開示は大切なことです。何を聞かれても答えるし、それについて何を言われても別に不都合がない、という矜持・覚悟みたいなものがあります。だから何を聞いてもらっても、どこを使っていただいても大丈夫です。

ーー(ちゃんびい)それはありがたいです。たにかつさんのインタビューをするにあたって、構えていたこともあり……だいぶハードルが下がりました(笑)

それはなによりです。

ーーところで、私(エヌ)は何回かひだまりカフェに参加させていただいて、たにかつさんと面識はあったんですけど、よくよく聞いてみると、ちゃんびいもたにかつさんをご存知だったみたいなんですよね。

ーー(ちゃんびい)ひだまりカフェに参加したことがあります。あと、3~4年前、私が参加した講座にたにかつさんもいらっしゃいました。

ああ、なるほど。

ーー今回は、ご依頼いただいた身ではありますが、ふたりともたにかつさんを知っていました(笑)

インタビューへ向けて

ーーあらためて、今回のインタビューでは、日頃の活動はもちろん、たにかつさんの過去や、プライベートな部分についても、いろいろとお伺いできればと思っています。最初の質問になりますが、今回、どうしてさうれぽのインタビューに応募してみようと思ったんですか?

去年は、ふくしまかざりさんという方にインタビューをしてもらったんですよ。その記事にもありますが、自分が発信する情報と、他人が発信してくれる情報は、主観と客観の違いもあって、若干異なるんですね。私としても、「外の人にどう見えているんだろう」というのは気になります。私自身が見ているものとは違うと思っているので、インタビューの機会があれば積極的に参加してみようと考えています。

ちゃんびいさんとエヌさんが「さうれぽ」を立ち上げたように、自分たちの活動や、地域で活躍している方を、インタビューしてもらいたい方はいっぱいいると思うんですね。プロモーションのためにもなるし。

あとは、「なぜそういった活動をしているのか」という思いを、積極的に表に出す人もいるとは思うんですけど……それを自分から話すのは、大上段に過ぎる。聞く方ほうが「お……おお、急にどうしちゃったの?」という感じで、構えちゃうこともある。

たとえば、今日も、鹿児島市役所の森満誠也さんが受けたインタビューをFacebookでシェアしました。もっといろんな人が自分の思いを、主観だけではなく、語れる場所があったほうがいいと思っているんです。

みんなの一歩 ひとりめ 〜森満誠也さん〜
みなさんこんにちは!共生・協働センターココラボです^^ ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。 こちらのブログでも同じ内容を紹介させていただきますので、是非ご覧ください^ ^

社内や団体で、自分たちのビジョンを内向きに語ることはできるんだけど、それでも、トップと、一般の社員や職員がぜんぜん違うことを言っている場合も当然ある。やっぱり、上下関係があって素直に言えなかったりね。

だから、今回のように、外部にインタビューをされて、その中の人(社員や職員)がそれを見ることによって、「ああ、うちの人(社長、代表)はこんなことを考えていたのか」と知ることにもなる。今回のインタビューで言えば、「ルネスかごしま」に関わる人たちでビジョンを共有するための場にもなるかな。

ーーなるほど、インタビューさせていただく側として、「そういう意図もあったのか」と勉強になります。それでは、続きまして、ルネスかごしまやたにかつさんについて、ご質問を続けさせていただきます

ルネスかごしまの成り立ち

ーーたにかつさんがルネスかごしまの活動をスタートされたのが、2017年。カウンセリングや、ひだまりカフェの活動をはじめとして、さまざまな活動をされてきたと思います。この4年間を振り返ってみて、ご自身の中で、活動に対しての向き合い方、考え方がどのように変わっていったのか、お聞きしたいと思います。

私はもともと、別の法人で、4年くらい活動していました。その団体がなくなる時、自分としては「なくなるのは困るな」と思いました。引き継いだ、というわけではないんですけど、そこが取り組んでいたことを、ルネスかごしまで現在も続けている、という状況ですね。

そこは、14年近く活動をしていて、団体としてのカラーもありました。特別、何かしなくても、人が集まってくる。ただ一方で、「広報に力を入れていない」という問題もあって、外からの認知度は高くなかった。

だから、そこで過ごした4年間を活かす意味でも、「広報活動をちゃんと行おう」と思いました。ルネスかごしまとしての活動は、2017年4月にはじめて、11月に法人化。翌年、2018年の4月には、法人のFacebookも開設しました。その結果もあってか、わりと早いうちに、南日本新聞さんが取り上げてくださったり。MBCテレビさんが5分ほど、放送してくださったり。

生きづらさ抱える人支援 ルネスかごしま 谷川勝彦さん – NEWS TOPICS
きょうは、さまざまな理由で悩んだり苦しんだりして生きづらさを抱えている人を支援するNPO法人ルネスかごしまの谷川勝彦さんです。鹿児島市山下町の鹿児島市民福祉プラザボランティアセンターで語らう人たち。

一部での認知は、それなりに進んでいると思っています。でも、ルネスかごしまの活動は基本的に、要支援者や、講座に参加される方から、金銭を受け取らないようになっているんです。

別に、最初から決めていたわけじゃないんですよ。ひだまりカフェはもともと無料で、講座も、前の団体の頃から無料。

たとえば、「かき氷を作ろう」というイベントを、今度開催します。そういうイベントは、「300円取ってもいいのかな」と思わなくもないですね。去年、ここ(バカンス)で、ルネスかごしまの活動ではないんですけど、「さんまを焼いて振る舞う」というイベントをしました。その時は、500円いただきました。あとは、バーベキューとか、そういう時は実費をいただいたりしますね。

たにかつさんが今年開催されたフリーかき氷の宣伝広告
今年のフリーかき氷は、8月9日(月・祝)鹿児島市名山町バカンスにて。|谷川勝彦(たにかつ)|note
「大雨の被害にあったさつま町を応援しよう」→「どうせならみんなが喜ぶものを」→「暑いからかき氷食べたい」→「さつま町のマンゴーを使おう」→「さつま町のマンゴー終わったみたい」→「南大隅町のマンゴーはまだこれからみたい」→「南大隅町のマンゴーを使ったかき氷大会に」 目的と手段を履き違えているという意味では、いかにも私...

あと、当時、無料の講座や講演をやっていましたが、2年目からは、自治体から仕事をもらったりもしていました。というのも、県民交流センターにある、NPO支援センター「ココラボ」のラックに、ルネスのチラシを置いてもらってるんですよ。県民交流センターって、会議などで各自治体の職員が来るんですよね。その時に「ココラボ」でチラシを見てくれた人が、「うちでも講演をやってくれませんか」って依頼をくれたりしていたんです。

【新着情報】
<重要なお知らせ>鹿児島県共生・協働センター(ココラボ)の利用について(2021年4月13日)

だから、そういう意味では、すごく順調だったと思うんですよ。

設立当時、3ヶ年計画を立てていました。その時、私は1円ももらっていなかった。それを3年で、「自分は食えるようにする」という目標を掲げていました。そのために、プロモーションや情報発信にも力を入れていたし、講座とかイベントみたいな、人のいるところには出向いて、とにかく顔を広めるようにしていました。

実際、最初の3年で、私ひとりが生活できるくらいは稼げるようになったんですよ。といっても、法人の活動費になるので、個人の年収は200万程度なんですけどね。

今年の11月から4年目に入ります。次は、誰かを雇っていきたい。そもそも、私がカウンセリング・カウンセラーをやろうと思ったのは、「苦しいときに話を聞いてくれる人がいなかった」というきっかけがあるんです。「これから頑張って再起を目指そう」と思ったとき、ろくなカウンセラーがいなかったんですよ。

もちろん、何人かは、いましたけどね、ただやっぱり、説教、指導、ダメ出しをするような人が多かった。まあそれも、病院、施設、就労支援という勤務先の立場から言っていたんでしょうけど。

でも、「カウンセラーはこうではないよな」と思っていました。だからまずは、「カウンセラーの資質向上」、そして「病院や施設に所属していなくても食っていけるカウンセラーの在り方」を作っていきたい。やっぱり、組織に所属しているのが原因なんですよね。こんなこと言うと、あれですけど(笑) 

病院のカウンセラーとしては、同じグループの就労支援施設とか、B型事業所にいてもらったほうが、グループ全体の収入になるわけですよ。だから、要支援者の方が、仕事ができるようになって「自分はA型に行きたいです」「一般就労したいです」と言った時、引き留めるんです。そして、「引き留めること」が仕事だったりもする。給料をもらっているから、そうせざるを得ない。組織の海で動かざるを得ない。

でも、カウンセラーって、本来は一人ひとりが独立した存在なんです。ひとりの人間として支援の必要な方と向き合うからこそ、その相手も、自分自身をカウンセラーの前で見せることができる。それによって回復していく、という側面があるはずなんですよね。裸一貫でいるためには、病院みたいなバックがなくても食っていけるかたちを作らないといけないんですよね。

――例えば病院に行っても、その病院の職員としてのカウンセラーじゃなくて、個人として業務委託を受けているカウンセラーであるべき、というか。カウンセラー個人としての利害に関係なく相談出来るのが本来あるべき姿である、ということですよね。

そうなんですよね。

ただね、カウンセラーって今のシステムだと依頼をするのに「30分〜1時間で5000円」って価格帯で敷居が高いんです。

「アメリカでは気軽にカウンセリングを受けるんだよ」と言われてはいるけど、保険適用外なんです。だから、それはお金を持っている人の話であって、一般の人の話ではない。あと、日本では「病気の人が受けるもの」という認識がある。アメリカでは社長に位置する職種の人も受けたりはするんだけども、日本ではそうではない。

困った時、ちょっときつい時、話を聞いてくれる人が身近にいればいいんだけど、そうじゃない人は、うちみたいなところが「無料で話を聞きますよ」と門を開く。そして、それで収入が得られる社会になれば、ちゃんとしたカウンセラーも増えると思うんです。

ちゃんとしたカウンセラーに接することで、うつが回復したり。あるいは、悪くなる前にカウンセラーに相談する人が増えれば、医療費も抑制される。

ーーなるほど、確かにそうですね。

まあ、そこまでは考えていないんですけど(笑)。

「自分が作っていく、そして、ついでに全体もそうなればいいな」とは思っていますね。カウンセラーになりたい人って、いっぱいいるんですよね。資格を持っている人も。

でも、「本当のことが教えられているか?」は疑問で……「私ができているか?」というのも、それはそれで疑問ですけど。

もとの質問に戻ると……もともとは自分のためにやっています。今でもそれはまったく変わっていないんです。でも、それが、地域のため、社会のために、副次的に繋がっている。

ーーなるほど。

最初は、「無料でできるわけないじゃん」と言う人がたくさんいました。でも「できる」という確信はありました。なんか、後出しじゃんけんみたいですけど(笑)。「本当に社会に必要なものを供給、提供できていれば、どうにかなるはずだ」という思いはありました。「お金は後からついてくる」と思っていたので。

だから、この4年で変わったのは、その意識ですね。自分のためなのか、社会のためなのか、というところが変わってきています。

個人のための活動か、社会のための活動か

ーー「自分のためなのか、社会のためなのか」という問いに関しては、こういったメディアを作っている私たちにも突きつけられている問いのような気がします。もう少し詳しく聞かせてもらえますでしょうか。

若者を見ていると、「社会のために」って言ってたりするけど、どこかアンバランスなんですよ。「いや、自分が先じゃね?」って思うんですよね。

ちょっと専門的な話になりますけど……「マズローの5段階欲求」という考え方があります。まず、「生活の欲求」があって、次に「安全の欲求」がある。基本的に、下位の欲求が満たされてからでないと、上位の欲求も出てこない。そういう視野も持ちにくい。

エヌ作 図解、マズローの5段階欲求

とりあえず、食って寝ることができる。鍵のかかる安全な屋根の下で寝ることができる。その上に、「社会的欲求」というのがあります。たとえば、「組織や会社で認められる」「給料がちゃんともらえる」とか、あるいは「名前を呼んでもらえる」とかね。

それで、「社会貢献」は、さらにその上なんですよ。だから、その下の欲求が成り立っていないのに、やれ「ウミガメを守る」とか言われても、なんとなくふわふわしている感じがします。

そういう意味で、私にとっての最初の3年は、「とにかく自分の生活安全を確保する」こと。これはおおむね、できている。

だからこそ、今、社会とか地域、あるいはもっと広い視野で、物事を見ることができつつあるんじゃないかな。そのわりに、照国町の町内会には入ってないし、部屋の掃除もあんまりしないんですけどね。「えらそうなこと言うな」って感じですね。

ーー(ちゃんびい)3年という数字の根拠みたいなものはあったんですか?

まあ、なんとなくだね。

28〜30歳のあいだ、ヤマダ電機でサラリーマンをやってたんですよ。当時は、「3年で管理職になれない人は一生なれない」と思われていたんです。早い人で1年くらいで管理職、3年経つと店長になっている。だから、3年は一つの区切りだと、なんとなく思っているのかもしれません。

実際、3年経ってみると、当初の想定の6割くらいしか成せていない。最初は、「鹿児島で困っている人はルネスかごしまに行けばいいよ」って言われるくらいにはなっていたいとか、高い目標を持っていたけど、まだそこまでは達していないよね。

ルネス鹿児島の在り方とたにかつさんの目標

ーーたにかつさんの活動の基本的な方針としてまずは「鹿児島にルネスかごしまあり」と認知を広げていきながら、たにかつさんの活動と近いフリーで食べていけるカウンセラーの数を増やしていきたい、そうあるためのシステムを作っていく、ということになるんですね。「認知」という意味では、最近は行政からお仕事の依頼もあるようで活動自体も広く認知されているんだな、という印象があります。

最初の2年も、社会福祉協議会主催の講演とか、依頼はあったんですね。それが、最近は、県のこども若者総合相談センターから業務委託を受けたり、ようやく行政から仕事をもらうようになったんです。フリーで活動していながら、認められつつあるのかな。行政の仕事って、わりと横並び的で、「あの自治体が依頼するならうちもしようかな……」ってなったりするんです。

ーーなるほど。

そういう時に色んなところから取材が来ると、仕事ももらいやすいんだよね。

ただ、2年くらい前、いきなり電話で「人権問題を取り上げたコーナーを作りたいからそういうので苦しんでる人を紹介してもらえませんか?」ってモラルに欠いたような依頼をしてくる人もいたんです。その問い合わせの意味が分からない。観る人たちに「『苦しんでいる人たちを私たちは助けることが出来ません』って番組にしたいの?」って。そういうのはさ、ちょっとどうかなって思うよね。一度くらいひだまりカフェに来て、私や参加者の方と交流をした後で話をするのなら分かるけど。

ちょっと話は反れたけど、意識の部分だけではなくて、仕事のもらい方という点でも、少しずつ変わってきていますね。

あとは、さっき話のなかで「鹿児島にルネスありき」みたいなのがありましたけど、そこの意識も変わってきています。

うちがやらなくていいことは、うちがやる必要はない。もっとうまい人がいれば、その人にやってもらったほうがいい。ルネスかごしまもようやく、行政から仕事の話がもらえるようになった。「なんかおかしなことをやっている連中がいる」という認識が、「まともなことを言っているし、どうやら支持者も多いようだ」というふうに、徐々に変わってきているんです。

私は、別に「行政のやり方が悪い」とか、「既存のカウンセラーが悪い」って言いたいわけじゃない。根幹にあるシステムの問題なんですよ。行政や福祉、医療関係の職員も、困っている人や状況、環境を良くしようと思って、その仕事についている。

だから、「あなたはなぜこの仕事をやろうと思ったのか?」という原点に立ち返ってもらいたいんです。既存のシステムに浸かっている人を「脱洗脳」していくのは難しいかもしれないけど、経歴の浅い人とか、初心を忘れていない人であれば、響くと思う。

究極的な目標としては、「ルネスかごしまがなくなること」がいちばんいいんですよ。競艇と麻雀だけに集中できる環境を作るのが、私の最終目標。

だから、もう3年目くらいからずっと、「引退したい」と言っている(笑)

ーーなるほど、それがたにかつさんがよくおっしゃっている「世界平和」なんですね

そうそう。自衛隊は暇なほうがいいですから。

少し前のたにかつさんについて

ーールネスかごしまの活動をはじめるきっかけとして、たにかつさんが所属していた、前身の団体の存在が明かされました。その活動に参加したきっかけがあれば、お伺いしたいなと思います

37歳の時に、前身の団体と出会いました。

28歳から30歳まで、ヤマダ電機で働いていました。その後、「家庭教師とかフリーライターで食っていこう」と思ったんですけど、私の人間的な問題がありました。いろんなことに対していい加減になったり、約束を守らなかったり、いろいろあって、結局すぐに行き詰まったんです。

しばらくは失業保険をもらっていました。その後は、家庭教師を週2でやるけど、収入としては、月に5万くらいとかで。当時は実家に住んでいて、平日にやることもなくて時間も多い。探してみれば、放課後等デイサービスなんかの仕事も、あったはずですけど。

でもその頃は、「就職する」とか、ましてや「福祉や支援の現場で働く」という考えはなかった。時間は腐るほどあって、自己嫌悪も強くて、「どうしようかな」と思いました。それで、31歳から37歳くらいまで、引きこもるんです。仕事もしていないし、「何なんだろうな」と思ったんですよ。

こんなこと言うとアレですけど、それなりに勉強もできて、いい大学にも通っていた。別に成功したいわけではないけど、「もっといい人になれる」と思ってたんですよ。

それなのに、なれていない、という現実に直面したんです。37歳のころ。その時、カウンセラーや、前に所属していた団体の理事長との出会いがありました。

一般の人の多くがそうであるように、心理学とかカウンセリングに対して、少しは興味があった。けれども、ちゃんと勉強したことはなかった。前身団体と関わるようになったころから、ようやく考えることができるようになったんです。「自分や他人と向き合うとはどういうことか」みたいなことをね。

「こんな自分でいいのか?」と自分に問いかけて、いい加減、なんとかしなきゃと思いました。でも今さらバイトなんかできない。当時はまだプライドもあったんですよ。卑屈にもなっていた。病的なところもあったと思う。

でも、前身団体がボランティアを募集していて、「これならできるかも」と思いました。行ってみよう、と。4月に新聞で広告を見たんですけど、当時は収入も少なくて、靴も服もボロボロで、「こんなんじゃ下に見られる」と思ってたんですよね。でも、何もできない自分というものを半年味わって、11月の福祉フェアで、「やっぱり行かない」と思いました。新しい靴で。

私はわりと、運命論者に近いところがある。会うべきとき、会うべき人に会ったり、読む本に出会ったり、ということはあると思っているので、そういう意味では、運命かもしれないですね。

そういう要素が、もともと私の中にあったのも事実だと思うんですけど、確実に生き方を変えたというか、転機になったのは間違いないですね。

ーー(ちゃんびい)「何かしなきゃ」と思った、一番の理由って何だと思いますか。プライドとかいろいろあったとは思うんですけど。

直接的には、母が亡くなったことですかね。母には、いっぱい苦労も心配もかけて……ある意味では、母もいろんな希望や夢を、私に対して抱いていたと思うんです。

「会社で仕事をして、家庭を持ってほしい」とか。「とにかく人並みでいい」ってよく言ってました。

それはそれで、私も、「申し訳ない」としか言いようがないんですけど……。

少なくとも、母の前で胸を張って「自分はこういう生き方をしています」と言えるような人間ではなかったんですよ、37歳までは。母を安心させることができなかった。

もちろん死んでしまえば、今の私を見ることはできないし、私が特に立派ということはないんですけど、「まあそこそこやってますよ」って言えるようにはなっている。そうありたいと思ったんです。

母はさ、「やっぱり麻雀はやめてほしい」って言ってた。だから、ほら、今年は3月からたまたまやってないんですよ。まあ、いずれやると思うんですけどね(笑)

「会社に入って上司の言うことを聞いて仕事する」みたいな「人並み」は、叶えられないわけです。でも、母親が望んだかたちではなくても、「元気にやってますよ」と心の中で言うことは、今でもありますよ。

だから、いちばんは、「母親に顔見せができない」という思いがありましたね。別に、立派じゃないんですけど。

たにかつさんの現在の名刺と、淹れてくださったコーヒー

当時の自分に向けて

ーーお話を聞いていると、当時の30歳から37歳、ひきこもりの頃と、現在では、全く考え方が変わってきてるような気がします。例えば、先ほどおっしゃっていた現実と理想に折り合いをつけることが出来なくて苦しんでる人って結構たくさんいると思うんです。そういう人たちに、何かお伝えできるアドバイスがあったりするのでしょうか。当時引きこもっていた自分に向けて伝えたいこと、と言い換えることも出来ると思いますが。

これは、本当に難しい。でもね、あんまり難しく考えないほうがいい。難しく考えるのは、人と話をする中でやったほうがいい。ひとりでやると、危ないんだよね。

だから、このインタビューをひとりで見ている人、読む人に対しては、「とりあえず楽しいことをしてほしい」と思います。

ーーいろんなとこから

理想と現実のギャップがある人って、最終的には、現実を見なきゃいけない。

ただ、人によっては、現実を見ると絶望しちゃうんです。極端に言えば、命を絶ってしまう人もいる。「現実が見れない」ということは、「見るタイミングじゃない」ということなのかもしれない。無理に現実を見せようとすると、それこそ、本当によくないことになってしまう場合もあるんですね。

多くの人たちが見る可能性のあるメディアでは、助言はできないんです。一般論は、言えないんです。申し訳ないけれども。

ツイッターでは、よさげな言葉が、いっぱいシェアされたりするじゃない。でもあれって、誰かにとってはいい言葉でも、傷つく人もいっぱいいるんだよね。Facebookでも、偉い人の言葉とか、いっぱいシェアしてる人がいるんですよ。

あれさ、できる人はいいけど、できない人には刺さるのよね。できない自分を突きつけられて、向き合わないといけなくなっちゃうの。

だから、私のTwitterはふざけたものである……ということではないか。私も、1万リツイートとかされたいんだけどね。

ーー(ちゃんびい)「簡単に助言はできない」ということは記事の中で書いても大丈夫でしょうか。

それは大丈夫ですよ。

大隅にね、一般社団法人パーソナルサービス支援機構というところがあって、そこの代表の大倉さんがよく「支援はオーダーメイド」なんだということをよく仰るんですね。

一般社団法人パーソナルサービス支援機構

だから、本当に申し訳ないんだけど、いい言葉っていらないんです。

Twitterでさらっと見るのはいいんだけどさ。基本的に、言葉って諸刃にできているじゃない。「こうしたほうがいいよ」って言った瞬間に、「お前できてんのかよ?」というフィードバックが必ずあるはずなんですよ。

その危険性を認識してない人ほど、安易な言葉を垂れ流す。それはダメなんです。

ーー(ちゃんびい)それは私も思います。うちの会社の社長が、格言みたいな言葉をグループLINEに送ってくるんですよ。「今の現状に不満があるのは頑張り切れていないからだ」とか。それ、親の介護で苦しんでいる人にも同じこと言えるのかよ、と思うんです。

うつの人に「頑張れ」って言っちゃダメ、という教えが広まったじゃない。それはそれで、悪いことじゃないんだけど、「頑張れ」って言ってほしい人もいるからね。

言われたからこそ、頑張れる人もいる。言われて苦しい思いをする人もいる。万人に向けた言葉は、一人ひとりを見ずに言われた言葉だから。自殺したい、苦しい人に対して「まあ、死ぬのも悪くないと思うよ」と言ったほうが良い可能性もあるし、「止めてほしいのかな?」と思われる人もいる。

難しいよね。だから、助言はできないんです。

今、当時の自分のように苦しんでいる人に対しては、「可能であればうまいものをたくさん食って寝ましょう」くらいしか言えないですね。

でもそれも、うまいものを買えない人もいるかもしれないからね。

ーー支援はオーダーメイドだという言葉がとても刺さりました。非常に難しい部分もありますけど、めちゃくちゃいい話ですね。

というところで、私はちょっとタバコを吸ってきます。

バカンスの1階。エヌとちゃんびいにコーヒーを淹れてくださるたにかつさん。

(後半へ続く)

コメント

タイトルとURLをコピーしました