【インタビュー】漫画家・ミヤオカジョブさん(後編)

インタビュー

県民インタビュー、今回のお相手は、ミヤオカジョブさんです。

前編では、おもにミヤオカさんの好きなものについてお聞きしました。後編では、いよいよ漫画制作について、お話をお聞きしたいと思います。インタビュアーは、ちゃんびいです。

漫画を描いて販売したきっかけ

ーーミヤオカさんは、古本屋・ブックスパーチにて、自作の「Beer wo Nomihoshitai」を販売されました。そうするに至ったきっかけを教えてください。

ミヤオカ:ブックスパーチさんは、もともと好きで、お客さんとして行ってました。漫画は、自費出版で出したかったんでけど、個人経営のお店がよかったんです。それで、「本を置きたいんですけど」と、お願いしました。アポなしでお伺いしたのですが、店主の諏訪田さんは、二つ返事で「ぜひ!」と受け入れてくださりました。

(エヌ)諏訪田さんには、僕たちもお世話になっています。

ーーこの「Beer wo Nomihoshitai」以前にも、漫画の作品はあったんですか?

書き上げたのは、1作だけです。「Nangoku City Ryunen Style」という作品です。これは、自分としては満足できなくて、賞に応募するのもイヤだったのですが。そのあとに、「Beer wo Nomihoshitai」です。

ーーそれ以前は、漫画は描いていなかったんですか?

中学、高校時代は、描いてたんですよ。『バクマン』に触発されて。でも、意外と手間がかかって、描きあげることすらできなかった。それで「普通にサラリーマンになろう」と思って、大学行って、飲んだり遊んだり、それしかしてなかったんですけど、就活に失敗して、ブラック企業にしか就職できませんでした。本当にやりたいことは何か、考えて、「漫画を描こう」と思いました。それまで、一切、絵はやってなかったです。

ーー他の創作活動も?

一切。「創作なんかやらずに普通に生きるぞ」と思っていたんですけど。描きたくなっちゃって。

ーー創作のきっかけとか理由は、何なのでしょうか。純粋に、描きたいという気持ち、でしょうか。

欲求ですね。それだけですね。

ーーやっぱりそうですよね……。

『Beer wo Nomihoshitai』について

ミヤオカ:なかなか忙しくて、時間が取れないんですけどね。実際に描くのは、仕事の休憩中、iPadでいじったりしています。あとは休みの日に。

ーー休憩中。かっこいいですね。

1時間半あるんですよ。「30分多めだからいける!」みたいな。

ーーけっこうどこでも描けるものなんでしょうか?

これはフルアナログだったので、なかなか。でも2作目は、下書きまではiPadで、ペン入れ以降はアナログでやろうかと思ってます。アナログは、家でしかできないですね。用紙がB3で、トレース台を使うので、持ち運べない。

ーーこの『Beer wo Nomihoshitai』は、どれくらいの期間で完成させたんですか?

これは、1年かかりました。40ページ。仕事の合間に進めて。ネームまでは1、2ヶ月ですが、そこから時間がかかりましたね。描き込みが多いんですよ。なんでこんな絵柄にしたんだろう、と後悔しながら1コマずつ描いています。アナログで描いたものをスキャンして、iPadに取り込んで、編集する感じですね。

ーーけっこう聞かれがちな質問になるかもしれませんが……これを読まれた方って、作者のミヤオカさんを主人公に代入して読むと思うんですよ。どれくらい、自分が入っていますか?

自分の気持ちがどれくらい入っているかは、想像におまかせ、という感じですが、私を代入して読んでもらえるように、という意図で描いてはいます。作中には、実際のエピソードもあるんですよ。女性と会って、とある場所に連れて行かれる場面。ここは、実際にあった出来事です。

ーーいちばん嘘っぽい場面ですよね。

そう。実際に描いたら「嘘じゃね?」と思えてくるから、後悔してるんですけどね。現実をいざ描いてみたら嘘っぽくて、反省していますね。

ーーそのあたりもふくめて、リアルとフィクションの織り交ぜ方が絶妙です。

実在する場所を、背景に使っているんですよ。写真をプリントアウトして、トレース台で透かして、描いていく。リアリティを出したい、というのもありますが、絵の線が少なかったら手を抜いてるんじゃないかと思われそう、という理由もあるんですね。素人で、絵にはコンプレックスもあるので、下手さを隠すには手数を詰め込もうと思いました。0.03ミリのペンとか使って。

(エヌ)この背景の描かれ方と、主人公たちのやるせない感じがマッチしていますよね。

ありがとうございます。

ーー私も小説を書いているのですが、自分の下手さがわかっていると、書き込むほうに行くんですよ。風景とかをしっかり描写していると、その力のかけ方で、未熟さがうやむやになる部分もあるんですよね(笑)この主人公についてですが、これは、自分のことを客観的に見ていないと描けない部分だと思います。そういう俯瞰的な視点は、制作する上で、ずっとありましたか?

逆に、そういう視点がないと描けないんですよ。完全に自分のことを書いていると、感情移入してしまって、周辺の嫌なことも思い出してしまう。だからフィクションを織り交ぜています。見た目も自分とは違いますし。

(エヌ)確かに、こういうタイプの青年かと思ったら、実際のミヤオカさんは違う。

知り合いを参考にしています。写真を撮らせてもらって。

ーー終盤からラストシーンにかけて、大きな展開がありますね。

本当はもっと感情移入して描いていたんですが、「ご都合主義だな」と違和感があって、直前で描き直しました。

ー鹿児島が舞台ですが、その点は意識的に描かれたのですか?

意識しました。住んでいる土地をそのまま描くのが、いちばんリアリティがあると思ったので。川勝と徳重さんの場合、それが東京です。僕は鹿児島なので、鹿児島を描こうと思いました。だからと言って、鹿児島愛が強いとか、そういうわけではないと思いますが。

鹿児島について

ーーさうれぽのインタビューでは、皆さんにお聞きしています。ミヤオカさんは、鹿児島について、どう思っていますか。

そうだな……。鹿児島、普通に栄えてるな、と思っています。東京なんかと比べたらあれですけど。私は、奄美大島の中でも、田舎のほうに住んでいたんですよ。近所のコンビニまで片道4、50分みたいな。飲食店もないし。鹿児島は、チェーン店も多いけど、地元ならではのお店もありますよね。中心部に住んでいれば、車がなくても生活できる。いいなあ、と思いますね。

それは大学に来てから、ずっと変わらない気持ちですね。鹿児島に来てびっくりしたのが、車の走行車線が2車線あること(笑)。本屋もあるし、映画館もあるじゃん、ライブハウスもいろんなミュージシャンが来るなあ、みたいな。

でも、東京に比べると、ニッチなお店はないじゃないですか。東京で自分の漫画を置かせてもらっているのは、自費出版専門の本屋さんなんですが、そういう変わったお店はないですし、ミニシアターもマルヤガーデンズの映画館だけですよね。「そんなお店がもっとあればいいな」とは思います。ただ、採算は取れないだろうな、と。

ーーなるほど。もしミヤオカさんの生まれた場所が、東京や福岡のような都会だったら、同じように漫画を描いていたと思いますか?

描いていたとは思いますが、鹿児島が舞台ではないと思います。あと、もし東京にいれば、もっと暗い性格だったと思いますね。大学では、友だちとか先輩に恵まれたんですよ。東京だったら、友だちもできなくて、大学も行かなくなってたんじゃないかな。

ーー押見修造の『ぼくは麻里のなか』みたいですね。

そんな感じです。あと、福満しげゆきさんの『僕の小規模な生活』みたいな。

(エヌ)大学の4年間を通して、自分が変わったと思いますか?

変わったと思いますね……。高校までは、もっと暗かったので。酒飲みにはなりましたけど。まあ、東京に行きたかった気持ちもありますね。上京も、まだ迷ってはいるんです。東京のほうが、漫画の活動はしやすいんですけど。鹿児島を舞台に描きたい気持ちもある。

ーー選択肢って、だんだん少なくなりますよね。鹿児島を出る理由がなくなる。

淺野いにおの『ソラニン』にもそういうシーンがありますよね。歳を取るごとに、選択肢が減っていく。

ミヤオカさんから最後に

ーー最後になりました。ご覧の皆さんに、お伝えしたいことなどあれば、よろしくお願いいたします。

現状では、続編を作っています。その次の3作目も、ネームは下書きまで、できています。それとは別に、小説も書きたいと思っているのですが、これらをまとめて本にしたいと思っています。商業デビューもしたいです。2作目は、それ単体で読める話なので、賞に応募しようと思っています。という感じです。

ーーどのような形であれ、読めるのを楽しみにしています。

ありがとうございます。

ーー頑張りましょう! 同じく、創作活動をしている者同士。

編集後記

ミヤオカさんのInstagramの投稿を、過去にさかのぼって拝見して、強く感じ入ってしまいました。以前と比べて、(素人目の意見で恐れ入りますが)格段に絵が上達しているのです。ミヤオカさんは、日々鍛錬を重ね、絵の技術を磨かれている、その志を思い、熱いものを感じました。

実際にお話ししていると、体格の良い穏やかな兄ちゃん、という感じなのですが(笑)……『Beer wo Nomihoshitai』のような漫画を描かれている、その不思議な二面性にも惹かれました。

漫画を描く理由について、「ただ描きたいから」とお話しされていたのも、同じく創作活動に取り組む人間として、勝手に共感をおぼえました。やりたいからやる、という根っこの気持ちを無意識のうちに大切に抱いている限り、私たちは楽しく続けられることと思います。

ミヤオカさん、ご協力いただき、ありがとうございました! (ちゃんびい)

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